普段、こんなものがあったらいいのにな!
と思うものを思いついたら、ここでつぶやいてみようと思います。
第1回目の今回は、
『ムンプス(おたふくかぜ)検査キット』
以前から欲しい検査キットです。
インフルエンザの簡易な検査キットは、
今では外来診療で欠かすことの出来ないものとなりました。
まあ、発症後12時間程度たってからでないと陽性にでないとか、
どうしても取りこぼし(偽陰性)が出てしまうこととか、
多少問題点もありますが、
10~15分程度で結果がでるのはありがたいことです。
これに引き替え、
おたふくかぜの検査は一般的には血液検査で行います。
うちの様な診療所の多くは、外注しているところが多いと思います。
耳下腺炎かどうかは、
耳下腺が壊れた時に血液中にでてくるアミラーゼという酵素を測れば
大概の場合わかります。半日~1日で結果は帰ってきます。
(それでも一晩はかかってしまいますが)
これに対して、
おたふくかぜのウイルス(ムンプスウイルス)によるものかどうかは、
血液中のムンプスに対する抗体を調べることでわかります。
ムンプスIgM抗体というのが上がっていれば、
今回ムンプスウイルスに感染したという証拠となります。
ムンプスIgG抗体しか上がっていない場合は、
過去におたふくかぜをすでにやっているか、
ワクチンのおかげで抗体ができているということになりますので、
今回の腫脹はムンプスウイルスが原因ではないということになります。
また、抗体が両方とも上がっていない場合は、
まだ感染したことがないということで、
十分注意する必要があります。
こういう検査はたいていは耳下腺が腫れた時に検査をするので、
両方の抗体が上がっていなければ、
ムンプスウイルス以外のウイルスや細菌感染で耳下腺が腫れているとか、
免疫学的な問題で腫れているということを疑います。
この抗体検査は、早くても4,5日、おおむね1週間近くかかってしまいます。
耳下腺の腫れが引いてきた頃にやっと結果が出るのです。
これが、インフルエンザ検査みたいに10~15分程度でわかれば、
もっと適格な指導ができるのにと思います。
おたふくかぜの場合は、現在のところまだ治療薬はありませんが、
細菌感染による化膿性耳下腺炎の可能性があれば、
抗生物質が有効です。
(ま、耳下腺から頬部の出口の唾液が出るところをみれば
たいがいは細菌感染によるものかどうかはだいたいわかるものですが)
また、耳下腺の腫脹の原因がはっきりしない場合は、
なんとなくそのまま登園、登校、出勤してしまって、
いらぬ蔓延を作ってしまう危険もありますが、
腫脹が流行性耳下腺炎だとわかれば、
耳下腺の腫脹がひくまで家で待機してもらう様に強く指導することもでき、
いらぬ蔓延を助長させることもなくなります。
今年は何となくおたふくかぜが流行っていた様に思うので、
ますますこの迅速検査キットが欲しかった・・・
現在、迅速検査キットは、
インフルエンザ、アデノウイルス、RSウイルス、
あるいは溶連菌などで実現しています。
ムンプスウイルスの検査キットは、
ネットで調べてみますと、研究用としてはある様ですが、
一般の診断、臨床用としては認可されていません。
ムンプスウイルスは、突発性難聴の原因として
考えておかなければいけないものの一つでもあります。
なかなか開発されないのには、
何らかの理由があるのでしょうが、
是非、迅速検査キットの早期の臨床実用化をお願いしたいものです。