京都耳鼻咽喉科漢方研究会3

めまいに対する漢方薬処方の要点

<五苓散と苓桂朮甘湯>
五苓散:嘔吐のめまい
苓桂朮甘湯:起きようとするとめまい・頭をおこすと回転性めまい=BPPV

腹診に大きな差はない
口渇:あってもなくても
尿不利:あってもなくても

低音障害型難聴⇒五苓散がよりよい

BPPV⇒苓桂朮甘湯 抗めまい薬より効く

<急性期の回転性めまいに対する対応>
①嘔気・嘔吐がみられる場合
⇒ まず五苓散を2包
必ずお湯に溶いて、冷やしてからゆっくりと服用
嘔吐したら、15分後に再度
②諸検査を遂行
③処方:ツムラ苓桂朮甘湯7.5g+高砂天麻末3g 4~7日分(なるべく温服)
頓服 ツムラ五苓散5g×3回(嘔気時・冷服)

<一般にめまいは虚証>
景岳全書:「虚なくば目眩をなす能わず。まさに虚を治すを以て主とし、その標を兼ねて酌すべし。」
一般にめまいは虚証に多く、実証は少ないと考えられる。
一見実証に見えても多くは何らかの虚によって実を生じた本虚標実である。

<めまいの漢方医学的アプローチ>
水滞:水の滞りで、体液が偏在した状態
⇒ 利水剤:五苓散、苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯、真武湯

於血:血液が停滞して怒る諸種の病的状態
⇒ 駆於血剤:桃核承気湯、桂枝茯苓丸、女神散、加味逍遥散、当帰芍薬散

腎虚:腎の機能が衰えている状態
⇒ 補腎剤:牛車腎気丸、八味地黄丸、六味丸

自律神経異常:気の異常が生じている状態
⇒ 気剤:柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、柴胡剤、
半夏厚朴湯、香蘇散、加味逍遥散、抑肝散、釣藤散