4.衣類
女性の衣類(スカートやストッキング)は、男性の衣類より保温性が低く
薄着も多いため、本来冷えやすい。
四肢末端冷え症
・靴下の重ね履きで保温したりやカイロで温めても、
交感神経緊張が緩まず血管が広がらないので抜本的には冷えは改善しにくい。
・下着を袖ありで、胸と腹を覆う面積の広いものを着用し、
体幹部の深部温を上昇させると、
熱放散を増やすために交感神経の緊張が緩み、
四肢末端の血流が増え、暖かくなる。
内臓型冷え症
体表面から熱が逃げやすいので保温が重要。
ただし、体表面の血流が多く汗をかきやすいので、
厚着のしすぎで汗をかかないように注意が必要。
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これは上半身から汗をかきやすい下半身冷え症でも同じ。
皮膚に直接触れる下着類は
吸湿性はよいが乾燥しにくく汗が冷えやすい綿よりも、
汗や熱を放散し乾燥しやすいポリエステルなど
化学繊維(スポーツウェアなど)やシルクなどがよい。
全身型冷え症
体の中も外も冷えているため、
夏でも靴下をはくなど保温が大切。
重ね着も有効であるが、
必要以上の重ね着をすれば過剰な発汗により冷えたり、
圧迫して血流を悪くする場合もあるので注意が必要。
5.運動
冷えには運動がよい。
・筋肉量↑
・代謝↑
・自律神経のバランスが整う
・十分な熱・栄養を送るための心肺機能を鍛える効果
どのタイプの冷え症であっても運動は重要
・四肢末端型冷え症⇒代謝↑
・下半身冷え症⇒代謝↑、腰・臀部・下肢の筋肉の凝りをほぐす効果
・内臓型冷え症⇒自律神経バランス↑
ストレッチやラジオ体操など全身運動をゆっくり行う。
第二の心臓と呼ばれる腓腹筋を使い、15分くらい大股で歩くウォーキング。
⇒毎日行うことで、足腰の筋炉力強化と下肢静脈系の循環改善。
6.ストレッチと指圧
四肢末端型冷え症
足趾の冷え⇒足趾を5秒間足底側に強く曲げ、パッと放す
(足趾ストレッチ)×5回⇒直後から温かくなる。
足趾の動脈血管再灌流でNO↑⇒血流↑
下半身型冷え症
臀部の梨状筋が拘縮し圧痛
⇒梨状筋のストレッチや臀中(でんちゅう)穴などへの指圧が有効
腓腹筋に凝りやむくみ
⇒下肢内側の築賓(ちくひん)穴、足裏の湧泉(ゆうせん)穴への指圧も有効
自分で指圧しにくい場所は
野球の軟式ボールやソフトボールの上に体を載せて自分の体重で押すと良い。
7.入浴
一般的には半身浴を推奨する人もいるが、
冬などは上半身が温まりにくく、
肩や首の凝りも改善しにくい。
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心臓が弱い人や体力のない病人や高齢者を除けば、
冷え症には40~42℃の全身浴がよい。
全身を温めるだけでなく、
筋肉の凝りをほぐし、ヒートショック蛋白による体の修復を促す効果が期待できる。
ただし、長時間の入浴はのぼせるため、
湯船に肩までつかるのは5分間まで。
全体でも10分以内で出ることが必要。
入浴しながらの足趾のストレッチも効果的。
8.その他
カイロ、足湯、湯たんぽ、電気毛布、厚着、重ね着など
⇒あくまで寒い時の補助熱源や保温対策
抜本的な冷え症の治療にはならない。
過剰な加温や保温は発汗を促し、
かえって自律神経の調節を狂わせ、冷えを増強させる場合もある。
参考文献
日本医事新報 No.4781 2015.12.12 p.30-35
「各種疾患に及ぼす冷えの影響と予防を含めた対策」