冷えについて2 冷えによる身体の影響

昨日の続きです。

冷えは病気やある種の病的な状態の結果のこともありますが、
病気それ自身にも影響を与えます。

A.西洋医学における各種疾患に及ぼす冷えの影響

1.疼痛性疾患
・リウマチや神経痛⇒冷えにより痛み症状が悪化
・がんや慢性消耗性疾患⇒冷えにより症状悪化、QOL低下
・冷えにより交感神経が緊張し疼痛部位組織の血流低下

2.感染症
・体温↓⇒ナチュラルキラー細胞の働き↓⇒感染に対する抵抗力↓
・創傷治癒の遅延
・風邪を繰り返す冷え症患者
:解熱鎮痛薬を含む感冒薬や鎮痛剤の乱用による体温低下の可能性

3.循環器疾患
・交感神経刺激⇒心拍数↑、心拍出量↑、末梢血管収縮
⇒血圧↑不整脈誘発⇒高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳卒中のリスク↑

4.消化器疾患
・交感神経刺激⇒胃腸運動↓⇒下痢や便秘の悪化、反射性腹痛
・寒冷刺激⇒甲状腺刺激ホルモンTSH↑⇒胃酸分泌↑

5.泌尿器疾患
・足や下腹部の冷え⇒尿意↑、頻尿、膀胱炎

6.産婦人科疾患
・冷えが月経や妊娠に悪影響の可能性
・冷え⇒月経不順、冷痛覚の過敏な女性では月経痛↑の化膿し絵
・不妊い対する影響はいまだ証明されていない

7.精神疾患
・冷え⇒緊張や不安、うつなどへの影響が推測されているが決定的な証拠はない
・冬季うつ病は寒冷というより日照時間↓⇒日中のセロトニン・メラトニン抑制が↓
・強い冷え⇒交感神経↑⇒不眠

B.漢方医学的な疾患に及ぼす冷えの影響
冷えによって起こる疾患=「疝」:7種
・寒疝:冷えによって起こる腹痛
・水疝:陰嚢水腫
・筋疝:陰茎や膣の感染症
・血疝:大腸が硬く触れるほどの便秘
・気疝:怒ると腹が張り痛む病
・狐疝:鼠径ヘルニア
・㿗疝(たいせん):陰嚢ヘルニアや睾丸炎

冷えが原因でおこる女性特有の病気
月経不順、冷えのぼせ(情熱下冷)、子宮脱、痔核、不妊症など

参考文献
日本医事新報 No.4781 2015.12.12 p.30-35
「各種疾患に及ぼす冷えの影響と予防を含めた対策」