ジャマイカ療法

先日の学会の臨床セミナーでの東京医療センターの五島先生の
「耳鼻咽喉科医が知っておきたいうつの知識」は、
とても面白くためになる講義でした。

その中で、「ジャマイカ療法」というのを、
模擬診察の現場をビデオにしてお話されていました。
といっても、ジャマイカという国もそこの人も全く関係がありません。

うつ傾向のある患者さんや不安が強い患者さんに、先生が、
「ジャマイカ療法というのも一つですよ」
と話しかけられるのです。
患者さんがきょとんとしたところで、

何か物事がうまく行かなかったとしても、
「じゃぁ、まー、い~か。」
と言葉にすると気が楽になりますよ。

と模擬患者さんに話されていました。
これを聞いた時、「やられた!」と思いました。

これは半分冗談みたいに話されていましたが、
実はどうして!
すごくパワフルな生活のツールだと思います。

その昔、僕がまだ学生か、研修医だった頃だったと思います。
「ジャマイカ野郎」という言葉が男性週刊誌・・・
平凡パンチだったか週刊プレイボーイだったかに載っていました。

と思って、「ジャマイカ野郎」ネットで検索してみると、
どうも「ポパイ」の様ですね。

女の子をナンパするのに、しつこく付きまとうのではなく、
かる~く誘って、断られても、
「じゃぁ、まー、い~か。」
と言って、軽いノリで去って行き、
どんどん次のターゲットにチャレンジしよう!

・・・みたいな、ちょっと軽い記事だったように思うのですが、
細かいことは覚えていません。ただ、この

「じゃぁ、まー、い~か。」
という一言ですませるという割り切り方

は、中々面白いなと思ってすごく印象に残っていました。
・・・といっても、
僕にはそんなノリで女の子を誘うなんて芸当は
とてもではありませんができませんでしたが。

でも、このジャマイカ野郎の生き方って、普通に生きていく上でも
結構いいんじゃないかと、密かに思っていたのです。

「じゃぁ、まー、い~か。」
と、こだわりなく生きる人生。

まあね、こだわりのない人生は、
生きている意味のない人生かもしれません。
でも、お釈迦様のおっしゃった人生での苦しみ
四苦八苦-生・老・病・死と愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五陰(蘊)盛苦
これらは、結局こだわることから生じる苦しみです。

こだわらない人生は、人生そのものに意味が見いだせなくなるし、
こだわりの人生は苦痛多き人生となる。
ただ、こだわりが実を結んだ場合は、喜びが待っている。
でも、喜びが収まったら、またあらたな苦しみが待っている・・・
だけど、こだわりも自分の好きなこと、興味のあることなら苦痛じゃない。
結局、バランスかなぁ~と思います。

最後はちょっと臭い話になってしまいました。

「じゃぁ、まー、い~か。」
とはいっても、
それでは済まされない案件は山ほどあるのでしょう。
ただ、以外と一歩引いて状況を眺めてみたら、
割り切れることもあるかもしれません。
一度は唱えてみてください。

そんなわけで、
ジャマイカ療法、僕もおすすめです。

まあ、こうして、「ブログを書く」という行為も、
書く以上は読んでくれる人が多いほどうれしいわけで、
それは、言うなれば大きな”こだわり”なわけでして、
ここにも全然悟っていない僕がいます。

でも、読んでくれる人が少なくても、
自分の考えたことが誰か一人の人にでも伝われば、
「じゃぁ、まー、い~か。」
と思って、頑張って書き続けることにしましょう。