本:耳は1分でよくなる

嫁さんが図書館で借りてきてくれました。

『薬も手術もいらない 奇跡の聴力回復法 耳は1分でよくなる!』
今野清志 著,自由国民社

ま、1分で難聴が治れば耳鼻科医は要りません。
なかなか治らないので苦労しているのですが・・・

ただ、書かれている内容の中には、
我々耳鼻咽喉科医も参考にすべきこともたくさん書いてあります。

・誰も知らない「難聴の三大原因」とは?
1)血流の悪化
2)内臓疾患
3)自律神経の乱れ
⇒誰も知らないわけではありません。
少なくとも動脈硬化と自律神経の乱れは影響がある
と思っていますし、
糖尿病や腎疾患が難聴になりやすいことも知っています。

・老人性難聴の原因は加齢ではなく、生活習慣病である!
⇒まさにその通りだと思います。

・耳のトラブルは、あなたの身体が「生活習慣を変えてほしい」と訴えているサインである
⇒僕もそう思います。

・耳をよくするには腸をよくしろ
⇒これは、中医学的な考え方ですが、中々新しい発想です。

・枕のあとが消えない人は、耳が悪くなりやすい?
首が凝っていると、血流が悪くなるからだと。
⇒まあ本当に正しいかどうかはわかりませんが、ありえそうです。

・今野式トレーニング
1)耳のマッサージ
2)エア縄跳び
3)チョッピング呼吸法(息をしっかり吸って小出しにはき出す)
4)お腹ウェービング
5)頸椎シェイキング
6)スプーン熱針療法(温めたスプーンの柄でお腹をなでる)
7)サウンドメディテーション
⇒これは中々いいかも。

・「どうせ歳だから」とあきらめたらそこで終わりだと。
「聞こえるはず」と考えることで身体が反応するようになるのだと。
そして、昔聴いたことのある、心地よい音の記憶を呼び戻す様にして、音を聴くトレーニングをすると効果が上がるのだと。

⇒確かに、最近僕も、
「音は聴こうとしないと聞こえないよ」と話しています。
以前、ルーの法則のところでお話をしました。
あの時は、身体を使いすぎると障害が起こるという観点から、
ヘッドホーン難聴について少し書きました。

しかし、ルーの法則には、もう一つ、
人間の身体は使わないと衰えるという法則があります。
だから、音はどんどん積極的に聴く必要があるのです。

・脳は聞きたい音しか聞かない
⇒これは確かにそうです。音は脳で聞いています。
耳はあくまで音を脳に送っているだけです。

ただし、正確には「聞こうとした」とすべきでしょう。
耳鳴りの音なんかは、誰も聞きたくないわけで、
そうした音を脳は無視してくれません。
耳鳴りの場合は、嫌なものですから、
無意識に音を聞こうとしてしまっています。
「今日は耳鳴りはどうかな?」という風にです。
ま、それはともかく、確かに脳は聞こうとした場合によく働きます。

・まずは好きな音を聞くことが大切
⇒なるほど、そういう観点から患者さんに
指導したことはありませんでした。

・自律神経のマヒは五感のマヒ
⇒僕は逆に五感のマヒが自律神経のマヒに繋がるのではと。

その他、生活習慣に関する注意点
・食生活:鉄分、タンパク質
・耳を酷使したなと思ったらら休ませる
・夜更かしは難聴のもと
成長ホルモンは寝ている時にしか分泌されない。
⇒おっと、僕も気をつけなければ・・・
・寝る前に深呼吸をすると熟睡できる
⇒あ、これは僕もやってます。
・夏でもお風呂で身体を温める、ただしぬるめ
・ジムに行くより、こまめに動く
⇒なるほど、確かに!
・寝る前にメールチェック、携帯をしない
⇒睡眠学からも正しい。

・休日などは、自然の中に出かけていき、
小鳥のさえずりや、木々のざわめき、川の流れる音などを聞こう
こうした自然の音には、人間の耳に聞こえない高週波の音がふくまれています。この高週波の音が、脳幹や視床を活性化することがわかっている。
⇒これは、以前、「本の紹介:音と文明」で触れました。
ハイパーソニックエフェクトというヤツですね。

こうして読んでみると、
題名には、ムムム!と思いましたが、
なかなかいい本だと思います。