「我々はあなたの耳鳴りに対して何もしてあげられることはない」:これは間違っている!3

先週からの続きです。

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A.I.:無意識を再教育するというのは非常に難しいことだと思いますが。
博士:行動心理学によれば、教育の方が再教育より簡単だといいます。危険がないと分かっていても、びくりしないようになるのは時間がかかります。私のゴールは、患者さんが危険な様に見えてもそうでないものに直面したとき、どのように反応するかを理解してもらうために、色々な例を用いて自分の無意識がどのように働くかを説明することです。

A.I.:それは信仰のようなものではないのですか?
博士:いいえ、信仰は持続不可能な結果を導くだけです。それはプラシーボと何も変わることはありません。我々は、真の生活の中でできることを患者さんに証明しなければなりません。

A.I.:環境)音はTRT療法でも重要な要素ですよね。静寂が最も大きな敵ですか?
博士:音響療法はTRTの中でも非常に重要な部分です。しかし、それだけでなく、いいカウンセリングと手をつないで行って行かなければうまくいきません。音響療法だけでは20%程度の有効率です。大切なのは(耳に入れる音が)どのように働くかを知ることです。
A.I.:TRT療法の成功は世界中で行われる様になったことからもわかります。
博士:TRT療法は35ヶ国で行われています。スペインでも多くの医師が、耳鳴り治療に用いていますが、今一つうまくいっていません。

A.I.:何が悪いのでしょうか?
博士:まず、多くの国でも同じですが、患者さんを手助けするには何も方法がないという考え方が未だに存在します。2つめは補聴器の使い方。3つめは向精神薬の使用についてです。

A.I.:補聴器の使用は役にたたないと?
博士:近年補聴器も進歩してサウンドジェネレーターの機能を持ったいい補聴器もでてきました。それは非常に効果的ですし、使いやすい。しかし、患者さんはそれをうまく使えるように知る必要があります。補聴器でも耳鳴り患者さんが使用する場合には(難聴で用いる場合と)違っています。

実際、私のMarylandのクリニックでは、サウンドジェネレーターの付いた複合機を用いて良い結果を出しています。しかし、この複合補聴器だけではダメです。同時に治療プログラムをきちんと行うことが必要です。補聴器だけだと有効率は10%ですが、TRT療法として用いると80%の有効率になり、満足度が上がります。

A.I.:オージオロジスト(≓言語聴覚士)が重要な役割を果たすと・・・
博士:非常に重要です。チームの一つの柱となります。スペインではその専門性を組み合わせることで、お互いの良い面が引き出されるので、耳鼻咽喉科医と手をつないで加療にあたるべきです。我々のところでは、オージオロジスト、耳鼻咽喉科医、心理療法士がいます。患者さん一人一人に適切にあたるためには、この3者が同じ言語で事にあたることが大切です。耳鼻咽喉科医だけで適切なガイダンスをするには十分な時間がありません。これは世界中でいえることですが。
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(補足)
日本では、補聴器の有効性はもっと高いと考えられています。
そのあたりのことは、
2015/9/15 拙ブログ:本の紹介:耳鳴りの9割は治る で紹介しています。
ただ、補聴器も結局優秀な言語聴覚士の方と2人3脚でやらなければ
効果がなかなか出ないようです。