3月1日の日本経済新聞に載っていた作家の山口恵以子さんのコラム。
40代の時にめまい発作が起こり、
それに伴って耳鳴りを併発するようになった。
まあ、近医では「メニエル病ではないがよく似た状態」
といわれたそうですが、なかなか良くならない。
そうしているうちに、日常会話に支障を来すようになってきたと。
一音一音の輪郭がぼやけて、つながると言葉としての意味が聴き取れない。
そんな中、一音一音がはっきりと粒だって、
言葉として耳に聞こえてくる声があったという。
それは、アナウンサー、特にベテランアナウンサーの声だそうです。
文章をそのまま引用しますと、
「あの時、私はアナウンス技術というのものは人類の宝だと思った。大袈裟ではなく、アナウンサーの声だけが私に言葉を届けてくれたのだ。きっと他にも大勢居る聞こえにくい人たちの耳にも届いているだろう。」
ただ、あるベテランアナウンサーの話よると、
最近のアナウンサーはルックス重視で、
アナウンスの基礎技術を身につける前に、
自己流の発声の癖がついていている人が多いらしく、
矯正するのが難しいらしい、
とも書かれていました。
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言葉をはっきり話すことを、「滑舌」といいます。
耳鼻咽喉科は当然、難聴の方がたくさん来院されます。
そうした難聴をもった方が、できれば治るように、
現代の医学で治らない場合でも、
その後できるだけ聴力低下を来さないように、
それは仕事の一環として行っています。
ただ、話をする際には、
以前の僕は、高度難聴の人の場合こそ、
大きな声でゆっくり話す様に心がけてはいましたが、
それ以外の人では、特別聞き取りやすい声で話をしよう
という意識はありませんでした・・・少なくとも5年前までは。
それが、5年前、ひょんなことから、
滑舌というものを知ることがありました。
そのことについては、また、明日お話させていただきます。