関西中耳臨床研究会:ANCA関連血管炎性中耳炎2

昨日の続き

ANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)

<ANCA関連血管炎(AAV)における耳症状>
・耳症状の頻度:40%
・耳症状での初発:20%

<OMAAVにおける耳以外の症状>
・鼻(38%)、
・咽喉頭(9%前後)
・肺(38%)
・腎(26%)
・眼など(41%)
・顔面神経麻痺(32%)
・肥厚性硬膜炎(25%)

<OMAAVの発症型分類>
中耳炎発症型(80%)・・・MPO-ANCA陽性例が多い
内耳炎発症型(4%)・・・・MPO-ANCA陽性例が多い
他臓器発症型(11%)・・・PR3-ANCA陽性例が多い
腎・肺⇒次いで中耳炎
上気道発症型(5%)・・・両ANCA陽性・両ANCA陰性が多い
鼻出血⇒中耳炎

<ANCA型からみた症状>
PR3-ANCA⇒鼻・肺・腎
両ANCA陰性⇒肥厚性硬膜炎

<両ANCA陰性例をどう考えるか?>
・感度の問題:うまく引っかからなかった可能性⇒偽陰性もある
・MPO/PR3以外のマイナーANCAの可能性
・ANCA関連血管炎ではない可能性

<予後>
・発症時の難聴の程度と治療効果
⇒高度難聴でも改善することはあるが、scale outは回復なし

・免疫抑制剤併用と治療効果
⇒ステロイドに免疫抑制剤を併用した方が快復率は高い
⇒再年率もステロイド単独の方が多い

・顔面神経麻痺と聴力予後
⇒顔面神経麻痺合併症例は聴力予後が悪い

<死亡例>8/297例
・原病死:4例・・・SAHなど
両ANCA陰性例、肥厚性硬膜炎、再燃例

・関連死:4例
⇒肺炎、VZV感染:免疫抑制剤との関連
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講演を拝聴して

一般的な滲出性中耳炎は、上咽頭の腫瘍にさえ注意していれば、
(治りやすいかどうかは別にして)
それほど怖い病気ではありません。

しかし、骨導閾値が上昇したり、めまい、顔面神経麻痺などを
合併してきたら要注意。
まあ、顔面神経麻痺が生じてきた時点で、
「これはただごとではない」とわかるわけですが、
めまいや難聴は、ちょっとしたことで生じる場合もあり、
それが、OMAAVなのか、他の疾患なのかを鑑別するのは
中々難しいかもしれません。

鼓膜の混濁、外耳道の微妙な腫脹、頭痛、耳痛など、
ちょっといつもと違う滲出性中耳炎だと思ったら、
ANCAを測定してみる必要があるかなと感じました。
ただ、ステロイドを服用すると、
結果がうまく出なくなることもあるらしく、
とても悩まし問題です。