関西中耳臨床研究会:ANCA関連血管炎性中耳炎1

先日の土曜日は、関西中耳臨床研究会に出席してきました。
今回のテーマは『ANCA関連血管炎性中耳炎』。
特別講演は、京都府立医大の准教授の坂口博史先生。

今回も、自分のための備忘録として、講義メモを載せておきます。
誤りに気づいた方はご一報いただければ幸いです。
ちょっと専門的な話になるので、興味のない人は読み飛ばしてください。

<ANCA:抗好中球細胞質抗体Antineutrophil Cytoplasmic Antibody>
・おおむね2種類がある:MPO-ANCA、PR3ーANCA)
・日本はMPOが多い

<ANCA関連血管炎(ANCA ascciated Vasculitis:AAV)>
・未治療の場合50%は死亡するとも言われる
・主なAAVは3つに分けられる。
1)GPA:多発血管炎性肉芽腫症
昔のWegener肉芽腫症にあたる。
PR3-ANCA上昇が90%

2)MPA:顕微鏡的多発血管炎
MPO-ANCA上昇が70%

3)EGPA:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
昔のチャーグストラウス症候群・アレルギー性肉芽腫性血管炎にあたる

<GPA>
主に上気道が多い。
・耳:中耳炎、顔面神経麻痺、感音難聴
・鼻:鼻漏、鼻出血、鼻中隔欠損⇒鞍鼻
・咽喉
・眼:角膜潰瘍
・中枢神経系:肥厚性硬膜炎・・・造影MRI、頭痛

耳症状における2つのポイント
・耳症状が全身症状の初発となる場合が多い
・耳症状だけの場合もある・・・この場合難治性が多い

<ANCA関連血管炎性中耳炎
Otitis Media with ANCA associated Vasculitis:OMAAVの臨床像>
上記AAVのいずれのタイプもありうる。
1.抗菌薬・鼓膜チューブが奏功しない
2.鼓膜所見は滲出性中耳炎型と肉芽腫型がある
⇒血管の拡張・発赤、外耳道も少し腫脹していることがある
☆OMEだがいつもと何となく違う!
3.多くは内耳症状もある(混合性難聴、めまい)
4.ANCA陽性が多いが陰性例もある(20%)
5.生検では診断されにくい
6.合併症または続発症が多い:
・肺(30%)
・腎(20%)
・顔面神経麻痺(30%)
・肥厚性硬膜炎(20%)