睡眠軽んずべからず!

たいていの人は徹夜もしくは夜なべの経験はあるでしょう。

「夜なべ」なんて言葉、最近は使いませんね。
夜10時には寝るのが当たり前だった昔の人からしたら、
今の日本人はみんな夜なべ族です。

おっと、出足から脱線してしまいましたが、
徹夜や夜なべ・夜更かしすると翌日はつらいです。
だから、睡眠が重要なことはたいていの人は感覚的に知っています。

では、実際には、睡眠中にどういうことが行われているのでしょうか?
今回は睡眠中に分泌される物質に焦点をあててお話しましょう。

1)成長ホルモン
「寝る子は育つ」という言葉がありますよね。
あれは本当のことです。
もちろん、背の高い低いは遺伝的な要素に大きく影響ありますし、
環境要因も大きいのですが、
深い睡眠状態の時に成長ホルモンが分泌されます。
小児にはこの成長ホルモンは文字通り身体の成長に働きます。
あーあ、僕も子どもの頃もっとよく寝とくんだったな。

この成長ホルモンは大人でも分泌されています。
大人の場合は、成長ホルモンは、組織の修復などを行います。
睡眠をとると疲れがとれるのは
一つにはこのホルモンのおかげかもあるでしょう。

成長ホルモンは皮膚の修復にも関与します。
睡眠不足が続くと肌が荒れると感じる人も多いかと思います。
美肌の維持にも睡眠が関与しています。

2)コルチゾール
コルチゾールとは副腎皮質ホルモンの一つです。
寝不足が続くとコルチゾールの量は増加します。
コルチゾールはストレスから身体を守るホルモンではありますが、
過剰に分泌されると、交感神経優位の状態となります。
これはいわば臨戦態勢ですので、長い時間この状態が続くと、
糖尿病や高血圧、胃潰瘍などが発生しやすくなります。

3)グリンパ
この「グリンパ」というのは、
まだあまり聞き慣れない人が多いのではないかと思います。
身体にはリンパと呼ばれる体液のシステムがあります。
細胞間とリンパ管を伝わって老廃物を除去するシステムですが、
今まで脳にはないと言われてきました。
ところが、最近脳にもグリア細胞と呼ばれる細胞を介して
脳内の老廃物を除去するシステムが発見されました。
グリアのリンパでグリンパと言うそうです。
このグリンパ、睡眠中にグリア細胞が縮むことで、
流れやすくなるそうです。
だから寝不足になると老廃物が除去されずたまってきます。
その結果認知症などが進むのではないかと考えられてきています。

4)グレリン/レプチン
グレリンというのは食欲を増強させるホルモン。
レプチンというのは食欲を抑制させるホルモンです。
睡眠不足が続くと、グレリンが増えてレプチンが減ります。
どちらも肥満を促進させる方向に働きます。
だから寝不足が続くと肥満になりやすくなります。
肥満は、最終的には生活習慣病へとつながります。

つまり、睡眠をよくとると、
子どもでは背が高くなる。
女性はお肌ツルツル。
壮年者では胃腸や血圧が調子よくなり、ダイエット。
老年者では認知症の予防につながります。
いいことづくめの睡眠。
軽んずべからず!