花粉症・アレルギー性鼻炎に対する漢方治療について
3回にわたって書いてみました。
・花粉症・アレルギー性鼻炎の漢方1
・花粉症・アレルギー性鼻炎の漢方2 標治
・花粉症・アレルギー性鼻炎の漢方3 本治
その他、ちょっと特殊な処方を書いておきます。
いろいろなところで見聞きしたもので、
全ての人に効果があるというわけではありません。
上記の薬でうまくいかない場合に試してみるとよいかもしれません。
(多くは、昔漢方の勉強会で、講師の先生から教授いただいた考え方です。)
<滋陰という考え方>
・こびりついているものを水を含ませて取り去るという
イメージだそうです。
・熱感があり冷たい水を好むタイプに有効(陰虚陽亢)。
・白虎加人参湯+滋陰降火湯
石膏が入っているので、高齢者の場合、滋陰降火湯を増やす
脾が弱い(胃腸が弱い)人には使えない。
<陰陽五行説に基づいた処方>
前回と重複する部分も含めて書いておきます。
1)肺系に直接作用する処方
鼻炎=「鼻」。
「鼻」は五行では「肺」系に属するとお話しました。
小青竜湯が代表的処方
2)肺系の母である脾系を補う
「脾」系とは主に消化機能です。胃腸を整えます。
補中益気湯、黄耆建中湯が代表的処方。
3)裏である「大腸」系を整える
これは今まで書いていない考え方ですね。
五行説は正確に言うと「陰陽五行説」と言います。
五行説は世の中のものを
「木」「火」「土」「金」「水」の5つに分類する考え方ですが、
臓器別では
「肝」「心」「脾」「肺」「腎」がそれぞれ対応すると書きました。
これは、五臓六腑の五臓の割り振りです。
では六腑は?というと、
「肝」には「胆」(肝胆相照らすといいますよね)。
「心」には「小腸」
「脾」には「胃」
「肺」には「大腸」
「腎」には「膀胱」
が、対応しています。
(残りの一つは「三焦」と呼ばれますが、ここでは省略)
ですので、肺系を整える治療を頑張ってしてみても、
なかなかうまくいかない場合は、
肺系の裏にあたる「大腸」系を整えるとよいと考えます。
大腸系を整えるとは、つまり、便通をよくするということです。
昔の人で、浅田宗伯という有名な人の言葉です。
「南の風を入れたければ、北の口を開けるがよい」
ここで用いられる処方としては、
桃核承気湯や大黄甘草湯が該当します。