先日、「舌が青い!」と当院を受診された患者さんがいらっしゃいました。
インターネットで、
「舌が青いのは舌に行く血流が悪いため」という文を読まれて
心配になり受診されました。
患者さんは、何か身体の中から異常があってこんなになったのかと、
すごく心配されていました。
確かに漢方には、
「お血(おけつ)」(「お」はやまいだれに於)という言葉があります。
血液がサラサラでなくなり流れが滞った状態です。
この状態を診るのに、舌の色を参考にすることがあります。
そして、お血がある時に「舌が青い」という表現をします。
しかし、実際の漢方でいう「お血の舌の青さ」というのは、
紫色のような色を指します。
つまり、寒い日に体育の授業で水泳の授業があったりして、
ガタガタ震えながらプールに入った時に
唇が真っ青になっていたと思いますが、
典型的な「お血」の青さは、あんな色です。
ところが、来院された患者さんの舌はこんな風でした。
(写真は患者さんの承諾を得て載せています。)
これは、「お血」の青さとは異なります。
僕もこんな色の舌を診るのは初めてでした。
しかし、見るからに何か着色したような色です。
「何か青いキャンディーの様なものを食べませんでしたか?」
と尋ねましたが、何も食べていないと言われます。
よく聞くと前日もこういうことがあって、一度治ったそうなのですが、
再度でてきたと。
着色じゃないかなと思いつつも、
色からすると銅の色かなとか考え、
虫歯の治療に使われている銀歯が実は銅が含まれていたのだろうか?
そんなことを考えていましたら、患者さんが気がつきました。
そういえば、睡眠薬として飲んでいる薬を水なしでなめて飲んだと。
実物を持っていらっしゃったので見せてもらうと、
見かけは変哲のない白い錠剤です。
名前がわかったのでネットで調べてみますと、
どうも薬の中心部に青い着色がしてあるそうじゃないですか!
この薬、以前に悪用されたことがあるのでしょうね。
液体に溶かすと青い色がでてくる仕掛けになっていて、
犯罪に用いないようにしてあるそうなんです。
それで、普段つかっている薬の検索ソフトで改めて調べてみますと、
口の中で溶かすと青く着色すると書いているではありませんか。
患者さんは原因がわかって一安心され帰宅されました。
普段、自分が処方しない薬だったので、
恥ずかしながら僕は知りませんでした。
一つ患者さんに教えていただくこととなりました。