めまいに半夏白朮天麻湯

先日の日本めまい平衡医学会で、
横浜市立みなと赤十字病院の新井基洋先生のポスター演題には
すぐに臨床に使えるヒントがありました。

めまいでよく処方する漢方薬に半夏白朮天麻湯があります。
ただ、もう一つよく処方する処方に
苓桂朮甘湯というのもあるのですが、
この2つの使い分けが、僕には今ひとつわかりません。

一応、半夏白朮天麻湯は回転性めまい、
苓桂朮甘湯はフラフラ・フワフワに用いると聞いたこともあります。
(もっと言えば、ぐるぐる回る回転性めまいの場合は、
沢瀉湯という漢方薬が一番よいそうですが、
これはエキス製剤にはないので、五苓散を用いるそうです。)

また、半夏白朮天麻湯は胃腸の弱い人に用いると言われています。

実際に新井先生は今回の発表で、
半夏白朮天麻湯と六君子湯の類似性に注目して、
六君子湯の使用目標である「気虚」という概念の程度を
把握するための質問票の中から、消化器症状の項目を抽出し、
簡潔な問診票とされました。すなわち、

1.あまりお腹がすかない
2.すぐにお腹がいっぱいになる
3.食欲がわかない
4.下痢をしやすい
5.胃がもたれやすい

この5つの項目について、「はい」「どちらでもない」「いいえ」で
点数化して、軽症・中等度・重症に分類して、
半夏白朮天麻湯がどれくらい効いたかを検証されました。
その結果、治療前の胃腸症状が強いほど半夏白朮天麻湯による
治療効果が高かったという結果が出たそうです。

これはいい指標だなと思います。
明日からでも使えそうです。