他にも風邪に用いる漢方薬があります。
<麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)>
構成生薬は、その名の通り、麻黄、附子、細辛という3つだけです。
漢方薬では、構成生薬が少ないものほど切れ味が鋭い傾向があります。
ですので、この薬も、はまればすごく効くはずなんですが、
僕はこの処方のイメージがまだあまりうまくつかめていません。
一応、イメージとしては、
「冷えが強い高齢者ののどが痛くなるタイプ」
です。基本的には風邪の初期に用いますが、
花粉症・アレルギー性鼻炎でも、小青竜湯より
こちらの方がよい人もあり、
そういう方は長く服用される場合もあります。
<麻黄湯(まおうとう)>
こちらは、葛根湯よりも力のある方で、症状も強い人向けです。
イメージとしては、
「寒気の強い、がっちり型の人のかぜ・インフルエンザ」
という感じ。ただし、麻黄が入っているので、
心臓が悪い人や前立腺肥大の人は要注意です。
<香蘇散(こうそさん)>
これは、僕のイメージは
「なんとなく、風邪ひいちゃったかな」
という、感じの時に使います。漢方薬の中でも軽い薬です。
軽い抗うつ作用もあるので、
なんとなく元気がでない時にもお茶代わりに飲むといい
と言われています。
また、風邪をはやく終わらせる作用もある
とか聞いたことがあります・・・
あ、しまった!今回の風邪で試してみたらよかったなぁ。
構成生薬は、
香附子、蘇葉、陳皮、甘草、生姜
の5つ。蘇葉はシソの葉、陳皮はミカンの皮です。
<小柴胡湯(しょうさいことう)>
これは、風邪の中盤に使います。
葛根湯でうまく駆除できなかった場合ですね。
イメージは、
「風邪ひいて3,4日たって口が苦い、胸から脇が張った感じ」
の時に用います。
小柴胡湯は、臨床応用の広い薬と言われています。
「柴胡」と呼ばれる最もメインとなる構成生薬の中には、
サイコサポニンと呼ばれる成分が入っていて、
ステロイドとよく似た形をしているらしく、実際に、
ステロイドを使いたい様な時にも用います。
<小柴胡湯加桔梗石膏しょうさいことうかききょうせっこう)>
上記の小柴胡湯に桔梗と石膏を加えると急性扁桃炎や扁桃周囲炎の
時に用いる薬になります。
桔梗石膏は西洋医学の鎮痛剤にあたるわけですね。
ですから、風邪のごく初期でものどが痛い場合は、
葛根湯+桔梗石膏(コタローからでています)という組み合わせも
有効です。
市販のものなら、葛根湯とこの小柴胡湯加桔梗石膏を
併せたような薬があります。
柴葛解肌湯(さいかつげきとう)と呼ばれています。
<柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)>
イメージとしては、「ちょっと虚弱な感じの人向けの小柴胡湯」
といった位置づけではありますが、小柴胡湯とは異なった持ち味もあります。
胃潰瘍にも用いることがあるほどなので、
胃が弱い人なら、小柴胡湯よりこっちでしょう。
また、柴胡「桂枝湯」とあるように、
風邪も中盤になってきて、
本来柴胡を含んだ薬の方がよいはずなんだけど、
まだ、じんわり汗をかいていたり寒気がする
という場合は桂枝湯を含んだこの漢方です。
とりあえあず、こんなところかな。