昨日、姿勢が心を制御すると言うお話をしました。
それと少し関連があるのですが、
先日読んだ本の紹介をします。
『1日5分 副交感神経アップで健康になれる
「首」にすべての原因があった』 松井孝嘉著,
朝日新聞出版
紹介するからといって、
特別推奨しているというわけでもありません。
ただ、そのコンセプトは注目に値します。
著者はもともと脳神経外科の医師で、
首のこりが、副交感神経の機能低下を引き起こし、
自律神経失調やうつ病を誘発させ様々な不定愁訴が生じている、
と主張され、頸性神経筋症候群という概念を提唱されています。
確かに、ふだん耳鼻咽喉科の診療をしていますと、
いろいろな症状を訴えられる患者さんが来院されます。
特にめまいや耳鳴りの患者さんの中には、、
首のこりや痛みを訴えられる患者さんがたくさんいらっしゃいます。
また、近年、社会が複雑になり、ストレスをたくさん溜め込んだ
患者さんがたくさんいらっしゃいます。
というか、ストレスのない患者さんなんて、
生まれたての赤ちゃん以外にいないのではないかというご時世です。
(いや、生まれたての赤ちゃんだって、
外界に放り出されてストレス一杯か。)
ですので、この本の著者の主張されていることは大筋で支持できます。
まあ、ただ、あまりに色々な症状を首こりのせいにされていますので、
そこまで言っていいのかな?という思いもあります。
まるで、昔、様々な病気に効く!と主張されたBスポット療法の様で、
あまりに単純に、何でも頸のこりをよくすれば病気が治る!と言うと、
医療関係者から、眉唾ものとされ無視されて、
せっかくのいい疾患概念とその対処法も
忘れ去られてしまう危険があります。
ま、それはさておき、頸が自律神経の要だと僕も思います。
現代人は特にパソコンや携帯・スマートホンなどを
四六時中使っていて、首が前屈されていて、
首に強い負担がかかっているのは確かです。
ですので、首のこりで自律神経が不調になるであろうというのも
容易に肯けます。
この本の中で、
首のこりをよくする体操についても書いてあるのですが、
これは読んでもなかなかうまく理解できません。
この首をほぐす体操については、この著者の別の本、
『うつ・頭痛・めまい・不定愁訴
「首こり」をとれば 90%以上完治する』
松井孝嘉 著, 小学館
の方が、参考になります。
ただ、この本も、
何でも治る!みたいに書いているのが、
ちょっと気になるところですが。
まあ、要は、
・首を冷やさない
・前屈した首の姿勢を長時間続けない
・適度に首の運動をする
これらのことを意識して暮らすだけでも
大分違うのではないかと思います。
ですので、さっそく、最近では、来院された患者さんにも、
「あんまりパソコン・携帯・スマホを下を向いてしないこと」
とお話しています。